あさのあつこさんからのメッセージ
「X-01」は、十代の少女を主人公にした物語です。舞台を二つ用意しました。
二つとも架空の場所です。架空ではあるけれど一つは、今のわたしたちの住む場所に限りなく近く、もう一つは限りなく遠い。そういう設定にしました。
まるで異なる世界が交わることで、何が生まれるのか。楽しみに読んでいただけたらと願っています。
そして、今回は戦士としての少女を描きました。戦うために生まれ、戦うために生きる。あるいは、生きるために戦わざるをえない少女です。
わたしは戦いでは、武器では、殺し合いでは人の世を壊すことしかできない。
決して新しい何かを創り上げることはできないと信じています。破壊のみ。
創造は不可能だと。けれど、戦うしか選択肢がない状況下にいる少女たちにとって
(むろん、少年にとっても)、それはただの甘ったるい感傷に過ぎないでしょうか。
人は結びつくこと、信じること、想うことで、人の世を変えていけるのか。
「NO.6」という作品を書き終えた後もずっと引きずっていたこの問いに、わたしなりの答えを見出したい。その足掻きの一歩が、「X―01」です。
想いはさまざまにありますが、ともかく読んで楽しんでいただけたら嬉しいです。